夫婦でお得に借りる!ペアローンのメリット・デメリット徹底解説

気になるお金

住宅ローンを検討するとき、選択肢はさまざまです。
中でも、共働き夫婦に注目されているのがペアローン。
2人の収入を活かすことで、借入可能額を増やせるのが大きな魅力です。

理想の住まいを手に入れたい。
でも、資金面が心配——
そんな夫婦にこそ知ってほしい制度です。

一方で、契約や返済の負担が2人分になる点には注意が必要です。
手続きや保険、万が一のリスクにも目を向けなければなりません。

本記事では、ペアローンの基本からメリット・デメリット、活用方法までわかりやすく解説します。
住まいの購入を成功させるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

住宅ローンにおけるペアローンとは?

ローンの借り方には複数の選択肢があります。
その中でも、共働きの夫婦に多く選ばれているのがペアローンです。

ペアローンとは、夫婦それぞれが別々にローン契約を結びます。
それぞれが自分の名義で借入・返済を行う仕組みです。
家計を共同で支える家庭にとって、借入の幅が広がる制度として注目されています。
一人の収入だけでは希望の物件に届かない場合も、 夫婦の力を合わせることで理想に近づけるのが魅力です。

収入合算との違い

住宅ローンの中には「収入合算」という仕組みもあります。
これは、1人が主債務者となり、もう1人は連帯保証人や連帯債務者となる方法です。

収入合算では、実際にローンを返済するのは主債務者です。
もう1人は収入面での補強として扱われ、返済の責任は一部にとどまります。

一方、ペアローンは2人ともが契約者です。
それぞれが独立してローン契約を結び、 双方に返済義務がある点が最大の違いです。

契約は2本必要

ペアローンを選ぶ場合、ローン契約はそれぞれ個別に締結されます。
つまり、契約書が2本存在し、手続きや書類もそれぞれで用意する必要があります。

また、金融機関への申し込みも2件分となるため、 審査手続き・事務処理・登記費用なども2人分発生します。

利便性よりも、メリットを重視する家庭に適した制度といえるでしょう。

ペアローンのメリット

ペアローンにはさまざまな利点があります。
以下で具体的に見ていきましょう。

借入可能額が増える

共働きなら収入を合わせた額で審査されます。
そのため、単独よりも借入可能額が多くなります。

たとえば、単独では3000万円までだった借入枠が、 ペアローンなら5000万円以上まで広がる可能性もあります。

これにより、駅近物件や注文住宅など、 選べる物件の選択肢が大きく広がるのです。

住宅ローン控除が2人分適用

夫婦それぞれが契約者となるため、 住宅ローン控除もそれぞれに適用されます。

現行制度では、年間最大40万円(認定住宅は50万円)まで控除可能です。
ペアローンなら2人分で最大80万円(または100万円)控除されることになります。

節税効果が大きく10年間続く制度のため、 総額で見れば非常に大きな恩恵を受けられます。

所有割合の調整がしやすい

購入する住宅の持ち分割合に応じて、 ローンの借入額を分けられます。

たとえば、夫が6割・妻が4割の所有としたい場合、 それに合わせてローンの割合も調整できます。

これは、相続や贈与を見据えた財産管理にも有効です。
夫婦間での公平性を保ちたい家庭にも適しています。

また、離婚など将来の変化にも備えやすくなります。

ペアローンのデメリット

一方で、ペアローンには注意すべき点も多くあります。
契約前にしっかりと理解しておくことが大切です。

手数料や諸費用が2倍

ペアローンは2本の契約を結びます。
そのため、事務手数料・保証料・登記費用などが夫婦それぞれに発生します。

たとえば、保証料が30万円かかるとすると、 2人分で60万円の出費となり、初期費用が大きく膨らみます。
また、印紙税や司法書士報酬など、 見落としがちな費用も倍になるため要注意です。

どちらかの収入が減ると返済が困難に

ペアローンは2人の収入を前提とした返済計画です。
そのため、どちらかが転職や育休で収入減となれば、 家計への負担が一気に増す恐れがあります。

特に、子育て期や介護のタイミングと重なる際は注意は必要です。
返済の継続が厳しくなるケースもあるため、 余裕をもった計画が求められます。

ボーナス払いを組み合わせている場合は、 収入変動の影響をさらに受けやすくなります。

離婚時の対応が複雑

ペアローンは、夫婦それぞれが返済義務を負う契約です。
離婚したからといって、ローンが自動的に解消されることはありません。

住宅の名義やローンの負担割合をめぐり、 話し合いや再契約が必要になることもあります。
さらに、金融機関との再審査や売却手続きなど、 想定外の時間と費用が発生する可能性も。

このように、将来的なリスクも視野に入れたうえで、 契約前に十分な準備と夫婦間での合意が必要です。

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ペアローンが向いている家庭とは?

どんな家庭にペアローンが向いているのでしょうか?
ここからは、具体的な例で見ていきます。

共働きで収入が安定している夫婦

どちらもフルタイムで働いていて、 収入が安定している夫婦にペアローンが向いています。

ペアローンは2人で返済していくため、 月々の負担を分け合えることもポイントです。
そのため、生活に無理のない範囲で借入額を増やしたい夫婦には、 とても相性の良い仕組みといえます。

また、共働きを前提にした家計設計をしている家庭では、 教育費や老後資金とのバランスをとるうえでも、 このローンの柔軟性が役立ちます。

広い住まいを希望している場合

子育てや在宅勤務などライフスタイルの多様化により、 広い家に住みたいと考える家庭が増えています。

単独のローンでは希望の物件に届かない場合でも、 ペアローンを使えば選択肢が大きく広がります。

例えば、3LDKや4LDKといった広めの間取りや、 収納力の高い注文住宅なども視野に入れやすくなります。

子どもの人数や将来の家族構成を見越した住まい選びにおいて、 柔軟な借入ができるペアローンは心強い味方となるでしょう。

住宅を夫婦の共有財産にしたい家庭

持ち家を夫婦で平等に持ちたいと考えるご家庭にも、ペアローンが適しています。

ペアローンを利用すれば持ち分の比率に応じて借入額も調整でき、 法的にも明確な形で財産を共有することができます。

将来的な相続や贈与を意識した資産形成をしたい場合にも、 ペアローンは選択肢の一つになります。

ペアローン利用時の金融機関の選び方

住宅購入時、ペアローンを検討する際、どの金融機関を選ぶかは非常に重要です。
同じペアローンでも、提供する内容や条件には大きな差があります。

ステップ1:ペアローンの取扱可否を確認

まずは、検討している金融機関がペアローンを扱っているかどうかを確認しましょう。
大手金融機関でも、ペアローンに非対応のケースもあります。
そのため、公式サイトや店頭で事前に問い合わせることが大切です。

ステップ2:商品内容を比較検討

対応していることが分かったら、次はプランの内容を比較します。

比較すべきポイント

  • 金利の種類と水準(固定・変動・ミックス型)
  • ペアローン専用プランの有無 ・審査の柔軟さ(年収・勤続年数・雇用形態など)
  • 繰り上げ返済手数料の有無 ・団体信用生命保険(団信)の保障範囲や特約内容
  • ペアローンに関するサポートの充実度(相談体制や提案内容など)

たとえば、ある銀行ではがん特約付き団信を無料で提供していたり、 女性の働き方に配慮したプランを展開しているケースもあります。

こうした特色を自分たちのライフスタイルと照らし合わせて検討しましょう。

ステップ3:仮審査を複数申し込む

1つの銀行だけで決めず、少なくとも2~3行に仮審査を申し込みましょう。
実際の対応や審査スピード、書類提出の手間なども含めて体験できます。

実際のやり取りから得られる安心感や、説明の分かりやすさなども選定材料になります。

金利だけでなく手数料やサポート面も加味すると、 数十万円単位で差が出ることもあるため、慎重に比較しましょう。

ステップ4:長期的な付き合いを見据える

住宅ローンは長期間の契約です。
将来的なライフイベントに備えて、柔軟に対応してくれる金融機関かどうかも重要です。

確認するポイント

  • 繰り上げ返済のしやすさ
  • ローン変更の可否、
  • ライフステージに応じた相談体制

また、金融機関選びを「金利の安さ」だけで決めないことです。
信頼できるパートナーとして付き合えるかを重視すると、後悔のない選択につながります。

ペアローンを選ぶときの注意点

住宅ローンを選ぶ際には細かな点まで確認が必要です。
住まいの購入は大きなライフイベントと言えます。
長期の安心を得るためにも、細部に目を向けましょう。

金利タイプをそろえる

ペアローンでは、2人で異なる金利タイプを選べます。
たとえば、夫が固定金利・妻が変動金利という組み合わせも可能です。

しかし、この場合、返済額に差が出るため家計管理が煩雑になります。
金利の変動リスクも2重に負うことになるため、 なるべく同じ金利タイプを選んだ方が安心です。

金利のタイミングや金融情勢によっては、 固定と変動のどちらが有利か判断が難しいこともあります。 その場合は、金融機関のアドバイザーに相談するとよいでしょう。

保険の加入もそれぞれ必要

団体信用生命保険(団信)は、ローン返済中の万が一に備える制度です。
ペアローンでは2人とも契約者となるため、 それぞれが個別に団信へ加入する必要があります。

当然ながら保険料も2人分必要となり、 特約を付けるとさらに費用がかさむことも。

加入条件や保障内容も夫婦で異なるケースがあるため、 内容を十分に比較・検討することが大切です。

万が一に備えた契約内容を

人生は予測できないことも多くあります。
将来の変化に備えた契約内容にしておくことが重要です。

たとえば、どちらかが病気や事故で働けなくなったときや、 離婚を迎えることになった場合の取り決めを、 あらかじめ確認・相談しておきましょう。

また、金融機関によっては、 連帯債務型や連帯保証型といった選択肢も用意されています。
万が一の事態に備えた契約形態を選べるかどうかも、検討材料の一つです。

将来のリスクを最小限に抑えるには、 契約前の夫婦の対話とプロへの相談が欠かせません。

▶︎住宅ローンの基礎知識についてはこちら

まとめ

住宅ローンにおいてペアローンは、共働き家庭にとって魅力的な選択肢です。
収入を合算できることで理想の住まいに近づける反面、 契約や返済面での負担が2人分になる点は見逃せません。

控除や借入額といった数字的メリットだけに注目せず、 万が一のときの対応や長期的なライフプランとの整合性も考えることが大切です。

ペアローンを検討するときは金融機関の説明をよく聞き、 不明点は専門家に相談する姿勢が欠かせません。
特に離婚や収入減といったリスクに対する備えは、 契約前に夫婦でしっかりと話し合っておくべきです。

制度を使いこなす意識を持ち、 ライフスタイルや将来の変化に対応できる柔軟な準備をしましょう。

ペアローンを上手に活用すれば、 ふたりの力で安心と快適を両立した住まいづくりが可能です。
資金計画と家族の幸せを両立させる一歩として、 前向きに検討してみてはいかがでしょうか。