マイホーム購入は、人生で最も大きな買い物のひとつです。そのため、住宅ローンの組み方によって、家計への影響が大きく変わります。
「どのくらい借りられるのか?」「どの金利タイプがいいのか?」「審査は厳しいのか?」
こうした疑問を解決し、安心して家を建てるために、住宅ローンを賢く借りる5つのステップを解説します。
住宅ローンでまず準備するもの
住宅ローンの申請には、事前に準備するべき書類があります。スムーズに審査を進めるため、以下を用意しておきましょう。これらの書類は、ローン申請を行うタイミングで必要となりますが、事前に準備しておくとスムーズに進行します。
必要な書類の例
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
申請時に必要。金融機関が申請者の身元を確認するために必須です。 - 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書、給与明細など)
申請時に必要。返済能力を証明するために提出します。 - 預金通帳の写し(頭金の準備状況を確認するため)
申請時に必要。頭金がどの程度準備できているかを確認するために求められます。 - 借入状況の証明書(他のローンやクレジットの残高証明)
申請時に必要。既存の借入状況を確認し、返済負担を計算するために必要です。 - 物件関連書類(購入予定の土地・建物の詳細資料)
物件を決めた後、申請時に必要。購入予定の物件の詳細(登記簿謄本など)を提供します。
事前にこれらを揃えておくと、審査がスムーズに進みます。
ステップ1:予算を把握する
無理のない返済計画を立てるには、収入と支出を確認しましょう。住宅ローンの返済額は、月収の25%以内が理想です。
例1:月収30万円の家庭なら、毎月の返済額は7万5千円以内に抑えるのが適切です。
例2(夫婦合算):夫の月収30万円、妻の月収20万円の場合、世帯収入は50万円。返済額は12万5千円以内に設定すると安心です。
ステップ2:ローンの種類を知る
住宅ローンには、以下の4種類があります。
- 固定金利型:金利が一定で、返済額が明確。
- 例:35年間ずっと月10万円の返済を維持したい場合に適しています。
- 変動金利型:市場の動向で金利が変動し、低金利時に有利。
- 特徴:
- 契約時の金利が低く、初期の返済額を抑えられる。
- 一定期間(通常5年ごと)で金利が見直される。
- 返済額の増加には上限があるが、長期的には金利上昇リスクがある。
- 例:現在の金利が低く、短期間で繰り上げ返済を考えている方に向いています。
- 特徴:
- フラット35:長期固定金利で、安定した返済が可能。
- 例:転職や自営業の方で、収入の変動に左右されたくない場合に向いています。
- ミックス金利型:固定金利と変動金利を組み合わせ、リスクを分散。
- 特徴:
- ローンの一部を固定金利、残りを変動金利にすることでリスクを抑えられる。
- 固定金利部分は長期的な金利上昇リスクを回避できる。
- 変動金利部分は低金利の恩恵を受けられる。
- 例:住宅ローンの半分を固定金利、もう半分を変動金利にすることで、毎月の返済額を安定させつつ、低金利のメリットも享受できます。
- 特徴:
選ばれやすいローンの種類
近年、最も選ばれているのは「変動金利型」です。低金利が続いているため、毎月の返済額を抑えやすいことが理由です。ただし、金利上昇のリスクもあるため、固定金利やミックス金利を選ぶ人も一定数います。
自分に合う金利タイプを選びましょう。
ステップ3:借入可能額と審査基準を理解する
住宅ローンを借りるには、金融機関の審査を通過しなければなりません。審査では、返済能力や信用情報がチェックされます。
主な審査基準
- 年収と勤務年数:安定した収入があるか、勤続年数が短すぎないか。
- 他の借入状況:車のローンやカードローンの有無。
- クレジットカードの支払い履歴:過去の延滞があると審査が厳しくなる。
- 返済負担率:年収に対するローン返済額の割合が適正か。
借入可能額の目安
一般的に、年収の5〜7倍程度が借入の上限となります。
例:
- 年収400万円の方なら、借入可能額の目安は3000万円。
- 年収600万円の方なら、借入可能額の目安は4500万円。
ただし、上限まで借りると家計の負担が大きくなるため、実際の返済プランを慎重に考えることが重要です。
ステップ4:金融機関を比較する
金融機関ごとに金利や手数料が異なります。複数の銀行を比較し、金利だけでなく繰り上げ返済手数料や保証料も確認しましょう。
金融機関の比較例
- 都市銀行:金利が低めで安定。ただし、審査が厳しい。
- 地方銀行:地域密着型で親身な対応。審査条件が比較的柔軟。
- ネット銀行:手数料が安く、金利も低い傾向。ただし、対面サポートがない。
- 信用金庫・信用組合:地域によっては好条件のローンがある。
例:A銀行は金利1.2%で保証料無料、B銀行は金利1.0%だが保証料がかかる場合、総支払額を比較することが大切です。
ステップ5:事前審査を受ける
購入前に事前審査(仮審査)を受けると、スムーズに契約できます。借入可能額や審査結果を知ることで、具体的な資金計画を立てやすくなります。
事前審査の流れ
- 金融機関のウェブサイトや窓口で申し込み。
- 年収・職業・借入希望額を申告。
- 数日〜1週間程度で審査結果が通知される。
例:希望する物件価格が3500万円なら、事前審査を受けて3000万円までしか借りられない場合、自己資金を追加するか物件価格を見直す必要があります。
審査を有利に進めるためのポイント
住宅ローンの審査を通すために行った方が良いことは、事前にしっかり準備し、審査基準をクリアすることです。以下に、審査を有利に進めるためのポイントをいくつか挙げます。
1. 信用情報の確認と整理
審査の際、金融機関は過去のクレジットカードの支払い履歴やローンの返済履歴をチェックします。過去に遅延や未払いがあった場合、審査が厳しくなることがあります。
- 対策:事前に自分の信用情報(信用情報機関)を確認し、未払いがないか、間違った情報がないかを確認しましょう。もし誤った情報があれば、修正を依頼できます。
2. 返済負担率の調整
金融機関は、借入額に対して返済能力が適正かどうかをチェックします。返済負担率(年収に対する返済額の割合)が高すぎると、審査に通りにくくなります。
- 対策:無理のない返済額を設定しましょう。目安としては、返済額が年収の25%以内になるように調整するのが理想です。現在の借入額を見直し、返済額を下げる努力をすると良いです。
3. 安定した収入と勤務状況をアピール
審査では年収や勤務年数も重要なポイントです。特に転職したばかりの方やフリーランス、アルバイトの方は、収入の安定性を証明するのが重要です。
- 対策:勤続年数が短い場合は、過去の勤務先や収入の安定性を証明できる書類(確定申告書や源泉徴収票)を準備し、信用を得ることが大切です。転職したばかりの場合は、前職の収入証明書を持参すると良いでしょう。
4. 頭金を準備する
頭金が多いほど、借入額が少なくなり、金融機関にとってリスクが低くなります。これにより審査が通りやすくなります。
- 対策:できるだけ頭金を多く準備しましょう。通常、物件価格の20%以上を頭金として準備することが理想的です。また、定期的に貯金を行い、計画的に頭金を積み立てていきましょう。
5. 他のローンを整理する
他にローンを抱えている場合、その返済額が審査に影響を与えます。特にクレジットカードの借入や自動車ローンなどは、返済負担が大きくなる可能性があります。
- 対策:住宅ローンを申し込む前に、他のローンをなるべく完済しておきましょう。クレジットカードのリボ払いやキャッシングがあれば、できるだけ早めに返済し、負担を減らすことが重要です。
6. 事前審査を受ける
住宅ローンを申し込む前に、事前審査を受けておくと、自分の借入可能額や審査通過の見込みが分かります。事前審査を通過することで、実際のローン申請時にスムーズに進めることができます。
- 対策:事前審査を受け、どの金融機関が自分にとって有利かを確認しましょう。審査に通るかどうかが事前に分かるので、安心して本申込に進むことができます。
7. 生活費や支出の見直し
収入と支出のバランスを見直すことも重要です。生活費がかかりすぎている場合、返済能力が疑われることがあります。
- 対策:必要ない支出を削減し、生活費を見直すことで、返済能力を向上させましょう。具体的には、無駄な支出を減らすための家計管理が役立ちます。
まとめ
住宅ローンを賢く借りるには、
- 予算を把握する
- ローンの種類を知る
- 審査基準を理解する
- 金融機関を比較する
- 事前審査を受ける
これらを実践すれば、安心してマイホーム購入を進められます。住宅ローンは長期契約です。しっかり準備し、最適なプランを選びましょう。